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スーダン編

スーダンというと、深刻な内戦で結婚どころではない、そんなイメージをお持ちかもしれません。しかし、広い国土で内戦が行われている地域はごく一部。アフリカ最大のこの国では、人々の平和な暮らしのいとなみだってもちろんあります。なかでも結婚式はスーダンの人たちにとって人生最大のイベント。「家」の名誉をかけ、壮大な規模でお祭りのような結婚式が繰り広げられることになります。


スーダンという国


砂だらけの街


町の向こうにはナイル川

路地裏の風景

スーダンはアフリカ大陸の北東部に位置する、アフリカ最大の国。面積は日本の約7倍もあります。この広大な国に住む人口は日本のわずか4分の1、約3000万人(1996年推定)しかいません。日本からは飛行機で約20時間ほどかかります。スーダンには二つのナイル川が流れ込み、首都ハルツームで合流。大河となってエジプト国境へ至るまで、川の流れは続きます。スーダンの自然環境も、このナイルの流れに沿って南部の沼沢・森林地域、中部の河川地域、北部の砂漠地域と移り変わり、それぞれの地に多彩な表情をもつ民族・文化が育まれてきました。気候条件は厳しく、北部の気候は砂漠気候で、日中は、冬(11月から3月)でも30度、夏(4~6月、9~10月)には50度近くまで達します。また、中部はサバンナ気候、南部は熱帯雨林気候です。それではさっそく、アフリカ最大の国、スーダンの結婚式の様子を見てみましょう。


女の幸せは結婚

古くは日本でもそうだったように、スーダンでは女の幸せは結婚して家庭に入る事だと考えられています。「早く結婚しなさい!」「早く子供を作りなさい!」と、日本ではタブーとされている言葉が、毎日の生活の中で若い女性に浴びせられています。


大家族の中での女性たちの生活

基本的に婚前の男性との接触はタブーとされているので、ほとんどが紹介による結婚です。お見合いおばちゃんが大活躍。

ひとたび結婚が決まると、アラーのおかげだとみんなで祝福。一生に一度の晴れの舞台を家族、親戚、友人、町内が全力を尽くして応援します。


新婚夫婦

町内の様子

派手婚

男性にとって結婚は、一生のうちで最もお金のかかるイベントです。結婚式のために数百万円をつかう人もいるくらい。学校の教員の給料が4万円程度のこの国なのに、結婚式の費用は惜しみません。派手で盛大な結婚式をすることは一家の名誉なのです。男性は貯金がたまってからじゃないと結婚できないと考える人が多く、かなりの晩婚です。それに結婚式が終わった後の生活費がなくて、親と同居になることもしばしばです。


華やかな結婚式


結納

結婚式の数週間前になって、男性の家族がスーツケースいっぱいのプレゼントを持って、女性の実家を訪ねます。スーツケースの中には花嫁が結婚式で身につけるゴールドのアクセサリーのセットから、ブラジャーやパンツまで、さまざまなものが詰め込まれています。「身ひとつでお嫁にきてください」と言う意味のようです。

この日、家族は男性と女性に分かれてお茶を飲みますが、男性たちの合意をもって結納が終了します。


男性からの結納品

ムスリム男性の服、ジャラビア

結婚式の数日前

花嫁は女友達を家に招き、結婚式の準備を共にします。 脱毛をし、クリームを塗り、髪の毛は当日整えやすいようにオイルを塗りこみます。 手足にはヘンナと呼ばれる染料をつかって(実際は、ヘアダイなどの染料を使ったりする)、華やかな模様を入れます。


手のヘンナ

足のヘンナ

また各家庭で調合する香水やお香で、花嫁の体に香りをたきつけます。

友人たちもみな結婚式に向けて、ヘンナをしたり、肌や爪の手入れをしたり、この日の花嫁の家は大きなエステサロンのようになります。スーダンの女性にとってきれいでいる事は最も大切なこと。友達の結婚式に参列するための準備には時間とお金を惜しみなくつかいます。


炭火の上で香を燻す

スーダンの民族衣装トッブ

夜は女だけのパーティー。友人だけでなく、親戚や、近所の女性たちも招いて食事をし、深夜遅くまで歌って踊ります。


結婚式直前のパーティー


結婚式

結婚式が始まるのは、日が沈んでからです。大抵は、予定されてた時刻よりかなり遅れてスタート。会場は町中にある「クラブ」と呼ばれる野外の大きなイベント会場の場合と、家の前の道などに仮設テントをたてて会場をつくる場合とがあります。参列者は数百人。ウェディングロードを挟んで、片方が女性の席、もう片方が男性の席になります。

招待されなくても、誰でも結婚式に参列することができます。何人くるかも定かではないため、かなり多めに食事を用意しなくてはなりません。食事のメニューはほとんどが決まっていて、暑いスーダンでも腐りにくい揚げ物が中心です。この食事はケータリングを頼むこともありますが、近所の主婦たちが集まって一日がかりで作ることもあります。お酒を飲むことが禁止されているスーダンでは飲み物は、コーラなどの炭酸飲料。


男性の席

食事

新郎新婦は造花やリボンで飾られた車で会場へ。新郎新婦の入場の時には「あーいあいあいあいあいあいあいあい」という雄たけびが会場中で発せられます。


新婦

余興やスピーチはほとんどの場合ありません。生バンドの演奏に合わせてみんなが踊るだけ。新郎新婦も踊っているか、席(ダブルベッドを飾ったもの)に座って、参列者の人たちひとりひとりと挨拶を交わしているか、どちらかです。

新郎新婦の様子は、何台かのカメラによって撮影され、映像はその場で派手に合成されて会場内のスクリーンで見ることができます。スーダンでは、写真やビデオを残す習慣がほとんどなく、唯一結婚式の写真やビデオを残すくらいなのです。だから、この晴れの日の記念写真やビデオは、花嫁の宝物となります。

指輪の交換や誓いの言葉などはありませんが、牛乳を口に含んで互いにかけ合うというちょっと変わった儀式があります。白い牛乳はお互いの純白を表しているとの事。


踊る新郎新婦

参列者

参列者は、食事をしたり、新郎新婦の席へ上がっていって挨拶をしたり、踊ったり。きらびやかな照明の中、夜中まで続く宴を楽しみます。